薬の種類【外用薬について】

皮膚科で使う外用薬は、含まれている成分により五つに分けてみましょう。その成分とは抗生物質、非ステロイド系消炎剤、ステロイド(副腎皮質ホルモン)、免疫抑制剤(タクロリムス)、それから具体的な効能を持たない保湿剤の五つです。

外用薬としての抗生物質は、ニキビや湿疹などが二次感染してしまったときなどに使われるもので、ゲンタマイシン、クリンダマイシン、クロロマイセチンなどを含むものがあります。

外用薬としての抗生物質も乱用されているので菌が耐性化して、効かなくなっているということが問題になっています。

非ステロイド系消炎剤を含む外用薬には、ウフェナマート、イブプロフェンピコノールなどの成分を含むものがあり、軽い湿疹や痒み、赤ちゃんのおむつかぶれなどに使われます。ステロイドよりも安全だと思われていて、市販のかゆみ止めの外用薬にはこれが多用されていますが、効き目が弱い上に非常にかぶれやすいので注意が必要です。

現在ではステロイド以外のもので痒みや炎症を抑えるのは難しいものです。副作用を恐れて、効き目の弱い薬で症状を悪化させるよりはステロイドを正しく使う方が良いと考えられます。

皮膚科以外で、打撲や肩こり、関節痛などに用いられる非ステロイド系外用薬には、インドメタシンやジクロフェナクナトリウムなどの成分が含まれており、こちらは比較的かぶれにくく、痛みや炎症に対して効果的でしょう。

さて、ステロイド(副腎皮質ホルモン)を含む塗り薬は、大変強い抗炎症作用があるので、湿疹などの炎症を抑え、痒みも軽減させてくれますが、副作用もあるため問題視されがちです。

どのような副作用があるのでしょうか。長期にわたり連用した場合には、薬の効き目が徐々に悪くなり、より強い薬へと移行してしまうこと、薬の使用を中止したときに急に皮膚の状態が悪化するリバウンドなどのほか、皮膚の委縮や色素沈着、多毛などの副作用がみられます。

短期使用による副作用としては、ステロイドの免疫低下作用により、塗布部分にウイルスや菌が繁殖しやすくなり、ニキビが出たりすることがあります。

しかしこのような副作用が出るのはステロイドを長期使用したときがほとんどで、1~2週間の短期使用や、断続的な使用の場合は非常に安全な薬なのです。

副腎皮質ホルモンはもともと人間の体内にあるホルモンと非常に似ているため、妊婦に対しては非ステロイド系の消炎剤よりステロイドの内服薬の方が処方されるくらいなのです。ステロイドを必要以上に恐れて一切の使用を拒むのではなく、副作用について正しく理解した上で、医師の指示に従い適切に使用したいものです。

現在、ステロイドの代用薬として開発されたタクロリムスという免疫抑制剤を含む外用薬が、アトピー性皮膚炎用には使われています。

皮膚委縮や色素沈着などの副作用が少ないのことが特徴ですが、灼熱感で痒みが増したり、皮膚の免疫低下による細菌感染の心配などがあります。また効き目はステロイドよりは弱めです。

ステロイドではないからといって安易な使用はせず、必ず皮膚科医の指示に従って使いましょう。

最後に、保湿外用薬は、痒みを軽減させるなどの具体的なく効能はなく、皮膚を乾燥から守るもので、長期使用してもほとんど副作用はありません。主なものにはワセリンがあり、角質柔軟作用をもつ尿素を含む尿素軟膏、保湿と血行促進作用のあるヘパリノイド含有軟膏などもあります。

 

シミの種類と特徴

一般にシミと呼ばれているのは、皮膚に出来る茶色や黒色の斑点や局面で、アザや皮膚癌などの病以外のものです。

最近よく知られるようになった肝斑という言葉がありますが、肝斑と書いてシミと読むので、シミは肝斑だとも言えますがシミと言われるものの大半は肝斑ではなく、老人性色素斑です。シミには色々な種類があり、ケアの方法もそれぞれ違いますから、種類ごとに6つに分けてその特徴やケアの方法をみていきましょう。

老人性色素

まず1つ目は老人性色素。多くの女性がシミと言って気にかけているものの大半がこの日光黒子ともよばれる、日焼けによってできるシミです。このシミは茶色で丸い形をしていて、頬骨のあたりからできはじめることが多いものです。

老人性色素斑は繰り返し紫外線を受けたことによってできます。紫外線の影響でメラノサイトが活性化して増加することで表皮や角質層が厚くなっていきます。その過程で老人性色素斑ができるのですが、このときすでに、皮膚の構造自体が変化してしまっているため美白化粧品によるケアは効き目がありません。何故なら美白化粧品はメラノサイトがメラニン色素を作りにくくしてメラニン色素の量を減少させるよう働きかけるもので、変化してしまった表皮を復元する力はないからです。

ごく初期のものは美白ケアも有効ですが表皮が変化してしまってからのものはレーザーでないと取り除くことはできません。

 

脂漏性角化症

2つ目はイボ状に盛り上がった脂漏性角化症で、頬骨の高い部分やこめかみなど髪の生え際からできはじめます。先述の老人性色素斑からできることもあります。その色は白っぽいもの、茶色のもの、真っ黒なものなどさまざまで痒みを伴うこともあります。これにも美白化粧品は効き目がありませんが炭酸ガスレーザーできれいにとることができます。

 

肝斑

3つ目は最近話題になっている肝斑で、これは女性ホルモンのバランスの乱れでできると言われています。妊娠中」や更年期などにみられることが多いようですが、その頻度は極めて低いようです。

肝斑はまが玉のような形をしていて頬骨に左右対称にできることが多いという特徴があります。色は淡い茶色か灰色で境界線が比較的はっきりとしています。肝斑の治療にはトラネキサム酸という飲み薬や漢方薬にも有効なものがあります。

 

そばかす

4つ目はそばかすといわれているもの。雀卵斑は遺伝性のシミで色白の人に多く10代からできはじめます。瞼や頬全体に小さなシミができ、その形は丸ではなく、三角や四角です。紫外線を受けるとその色が濃くなることがあります。雀卵斑には美白化粧品が有効ですが、それを使ってもはっきりとした変化を感じることができません。レーザー治療を受けると非常にきれいになりますが、再発することもあるようです。

 

炎症性色素沈着

5つ目はニキビ痕などがシミみなってのこる炎症性色素沈着です。これは治療しないでも年月を経てだんだん薄くなりますが日焼けすると消えにくくなります。治療する場合はレーザーではなくピ―リングがよいでしょう。

 

花弁状色素斑

6つ目は花弁状色素斑と言って、海水浴などで一度に強い日焼けをしたときにできるシミです。良く見ると小さな花のような形をしています。これにはレーザー治療がよいでしょう。

 

肌にやさしいメイクを

肌を守り、なおかつ綺麗にメイクを仕上げるには、次のようなことに気をつけましょう。

 

美容液を塗った後は15分待つ

軽いメイクをするときもしっかりメイクをするときも、洗顔後保湿美容液を塗ったあとは、15分以上保湿美容液が肌に馴染むの待ちましょう。軽めのメイクにしたいときは、この上にパフで押さえるようにフェイスパウダーをつけます。絶対にこすり付けないよう気をつけましょう。

フェイスパウダーが付きにくいときは、保湿クリームを補ってからつけてみましょう。ニキビやシワなど気になる部分があるときは、その部分だけをコンシーラーでカバーしてから、フェイスパウダーを付けると良いでしょう。

 

普通のメイクをするとき

普通のメイクをするときも保湿美容液が肌に馴染むのを待ってから、下地クリームの代わりに、保湿クリームを塗り、その上にパウダーファンデーションを付けましょう。塗りむらができやすいので、細かい部分まで、軽くとんとんと、押さえながら肌にのばしていきます。この時も決してこすらないように気をつけましょう。頬の部分に肌色に近い色のチークを入れて仕上げるとナチュラで健康な仕上がりになるでしょう。

 

“しっかりメイク”の時には

しっかりとしたメイクをしたいときには、練り状のファンデーションを下地クリームの代わりに使い、その上にフェイスパウダーを付けましょう。

 

化粧直しの方法

どのメイクをしたときにも、化粧直しの方法は同じです。まず油とり紙で押さえた後、フェイスパウダーををつけましょう。乾燥した部分があれば、そこだけに保湿美容液を使いましょう。化粧スプレーはそのとき与えた水分が蒸発するときにかえって肌を乾燥させてしまいますから、逆効果です。

化粧くずれの原因のほとんどは汗ではなく油です。身体の皮脂が浮き出てメイクの油と混じりメイクをくずしてしまうのです。自分の皮脂のことを考えて、Tゾーン、はUゾーンより油分を控えめにするなどの工夫をしてみるとよいでしょう。

 

メイク前の保湿に注意を払う

逆にメイク後肌が乾燥して粉が浮き、シワがめだってきたりしたときには、化粧水をスプレーするのではなく、メイク前の朝の保湿に注意をはらうようにしましょう。洗顔後に保湿成分を含んだ保湿美容液を使い、それが皮脂としっかりなじむまで時間を置いてからメイクするとよいでしょう。

最近のファンデーションは工夫されていて、毛穴をふさいでしまうようなことはなくなってきています。大人のニキビの場合はメイクによってニキビが悪化することはありません。赤く腫れたニキビはすでに毛穴がふさがれていて、外から塗ったものが皮膚の中に入ることはないので、何をつけてもニキビは良くもならないし悪くもならないのです。ニキビ用のコンシーラーというものも市販されていますが、含まれている殺菌成分は残念ながら毛穴の中には入らないので、特別にニキビ用を使う必要はありません。

ニキビのできやすい人は、油分の多い下地クリームを付けすぎないよう注意しましょう。 敏感肌やアトピー性皮膚炎の人は刺激になりやすいUVカットの下地クリーム、リキッドファンデーションの使用を控えることが大切です。

またクレンジングには石鹸を使いましょう。唇が荒れているときはリップグロスの使用は控え、口紅を使うとよいでしょう。リップグロスは高分子ポリマーなどの増粘剤が使われていて、刺激が強いからです。いろいろなことをきちんと理解し、肌に優しいメイクを心掛けましょう。

 

皮膚の病気 口角炎と口内炎

口角炎について

口角炎は口角の部分だけが切れてジュクジュクとしたり、痛んだりします。疲れやストレスによる免疫低下が原因ではないかと考えられていますが、詳しいことは分かっていません。

睡眠や食生活などの改善をまず考え、口唇炎と同じように、歯磨き粉やクレンジングなど刺激になるものが患部に触れないよう気をつけましょう。

口角炎は切れた患部にカンジダ菌がつくことがありますから、治りにくい場合は皮膚科を受診しましょう。皮膚科では、ステロイド剤や保湿の塗り薬等が処方されます。

口内炎について

口内炎になると、口の中に白く丸い発疹のようなものができ、痛みます。誰でも経験したことのあるありふれた疾患で、その原因は疲労やストレスによる免疫低下、老化やストレスによる唾液分泌の低下による口腔内の乾燥などであると考えられています。

胃腸障害や、入歯や歯並びが原因で、ある部分だけがいつも歯肉にあたること、歯の磨き方が悪いことや喫煙のため口腔内に雑菌が多い、あるいはビタミンB6の欠乏なども原因になると考えられています。

頻繁に口内炎が出来る人は、口腔内に何か不具合がないか点検し、生活改善を心掛けましょう。また、一度に何十か所も口内炎ができる人は全身疾患の可能性もありますから、皮膚科で検査を受けるようにしましょう。

 

皮膚の病気 口唇炎

口唇炎は外的な刺激やストレス、免疫低下などが関係して起こる唇にできる肌荒れのようなものですが、はっきりとした原因は分かっていません。

 

ハチミツで強力に除菌を

唇が荒れ始めたらまず、睡眠や食生活を見直すことが大切です。リップクリームは刺激になることがあるので、ワセリンに替えてみましょう。唇が荒れてジュクジュクしている場合は雑菌がついていることが多いので、除菌のために、強力な除菌作用のあるハチミツを使うのがお奨めです。

 

皮膚科で貰える薬は?

こういった民間療法でもなかなか治らないときは、皮膚科を受診しましょう。皮膚科では、殺菌のための抗生物質、炎症を抑えるステロイド剤や保湿の塗り薬などが処方されます。荒れた唇は触ると悪化するので、湿らせたり、舐めたりせず、乾きが気になるときは、ワセリンを塗り、なるべく触らないようにしましょう。

 

歯磨き粉、リップクリームにも注意が必要

洗浄剤やメントールが刺激になる歯磨き粉は唇の荒れているときは、使う量を減らし、口の周りにつかないように気をつけましょう。唇の荒れの原因が紫外線であることも考えられますが、UV効果のあるリップクリームは刺激が強く、唇の荒れているときにはよくないでしょう。

むしろ口紅のほうが、国産の敏感肌用のものであれば成分の面からみても唇を荒らす原因にはならないものです。唇に薄くパウダーファンデーションをつけ、その上から、ワセリンを混ぜた口紅を塗ると、唇が乾きにくくなり、紫外線をカットする効果も期待できます。

リップグロスは、その質感から唇の保湿になると思いがちですが、ミツロウと脂などを練って色素を加えたもので、油ではありません。増粘剤という物質は、口紅より刺激が強いので、唇が荒れているときには、リップグロスの使用は控えましょう。

また、食事中にティッシュペーパーで口を拭く習慣のある人は、紙の繊維が肌への刺激になりますから、ハンカチなどを使うようにしましょう。

 

歯並びの悪さが原因になることも…

歯並びが悪くて唇の閉じ方が不十なことが口唇炎の原因になることもあります。そういう人は歯科を受診しましょう。

唇は顔の肌より皮膚が薄いため、クレンジングや洗顔料の洗浄成分が唇につくと荒れの原因になります。なるべくクレンジングはマイルドなものに替えて唇につかないよう気をつけましょう。最後に、口唇ヘルペスは放置していても1~2週間で自然に治る、唇の左右片側だけに水疱ができるという特徴がありますから、口唇炎と間違わないようにしましょう。判別が困難なときは必ず皮膚科を受診しましょう。

 

皮膚の病気 湿疹・皮膚炎

湿疹には、誰にでもできる普通の尋常性湿疹と、かぶれと言われている接触性皮膚炎があります。ここで言う湿疹と皮膚炎は、同じ意味です。皮膚にできる原因となる刺激物質が、特定できない、かゆいものを、一般的に湿疹とよんでいます。

 

急性湿疹、亜急性湿疹、慢性湿疹

そして湿疹には急性湿疹、亜急性湿疹、慢性湿疹があります。発症して数日以内のものが急性湿疹で、赤みを帯びていて、少々晴れており、この段階でステロイドの外用薬を使うと、よくなります。急性期を過ぎたものが亜急性湿疹で、皮膚は硬くなり、色は黒ずんできます。

一週間以上経過したものは慢性湿疹といい、皮膚は厚く、黒くなっていきます。衣類や化粧品などの外的な刺激物に気をつけ、なるべく早期にステロイドなどの塗り薬で痒みを抑える処置をしましょう。慢性化すると治りにくいものです。

 

接触性皮膚炎

さて、その原因が何かものに触れることで起こったと分かっている皮膚炎は、接触性皮膚炎といいます。一般的にはかぶれと言われているもので、その代表的なものに、アクセサリーによる金属かぶれや、化粧品によるかぶれなどがあります。

皮膚が赤くなったり、痒くなったり、水疱ができたりといった症状がみられるのですが、原因となっているものが見過ごされ、アトピー性皮膚炎と誤診されてしまうことがよくあるものです。

接触性の皮膚炎で、見逃されやすいものとして、瞼の部分に慢性的な湿疹ができる、ビューラーかぶれがあります。ジーンズの金具や、ベルトのバックル部分の金属が原因なって、腹部に湿疹ができるバックル皮膚炎などというのもあります。

また、怪我などの処置で長期間消毒薬を使っていると、消毒薬にかぶれてしまうこともあります。消毒薬の使いすぎにも注意が必要です。

携帯電話や、マウスパッドなど、日常的に触れているものでかぶれることもあります。接触性皮膚炎は原因を除去すればよいのですが、案外その原因を特定することが難しく、診断しにくいものでもあります。

アレルギー性の接触性皮膚炎と、そうでないもの

接触性皮膚炎の中に、アレルギー性の接触性皮膚炎と、そうでないものがあります。アレルギーによるかぶれとは、特定の物質にアレルギーを持つ人がそれに触れることで起こすもので、前述のアクセサリーなどによる金属アレルギーや、化粧品の成分に対するアレルギーなどがそれにあたります。

非アレルギー性接触性皮膚炎

アレルギーは生まれつきの体質であるとは限らず、大人になってから急にかぶれたりすることもあります。このように、普通の人が触ってもかぶれないのに、特定の人だけがかぶれるというものを、アレルギー性の接触性皮膚炎というのに対して、物質そのものの刺激により、誰でもが長時間触り続けるとかぶれてしまうものを、非アレルギー性接触性皮膚炎といいます。台所用洗剤や、漂白剤、パーマ液などによるかぶれがこれにあたります。下着や服の襟やブーツなどの接触部分の摩擦で起こるかぶれなどもアレルギーではないかぶれです。接触性皮膚炎の対策は、接触原を断つことです。

 

真皮と皮下組織

真皮は表皮よりも奥の層で、コラーゲン線維の網目構造でできています。コラーゲン線維はタンパク質の繊維で、網目状の構造を作り上げているこのコラーゲン線維のところどころをつないで、肌の弾力を維持しているのが、エラスチン線維です。真皮の70%を占めるコラーゲン線維に対してエラスチン線維はごく微量しか存在しませんが、肌のハリには大切な働きをしています。

 

シワ・たるみの原因はエラスチンの減少?

年齢とともにこのエラスチン線維は減少し、シワやたるみの原因になります。さて、膠原線維ともよばれるコラーゲン線維は大変強く、縦には伸びにくいタンパク質でできた線維です。

コラーゲン線維には色々な種類があり、1型と2型に分けられていることが知られていています。真皮に存在するのは、大半が1型で、肌に良いと言われている軟骨に豊富なコラーゲンは2型で、皮膚とは別のタイプなのです。

 

コラーゲンは生まれ変わらない?!

コラーゲン線維は細胞分裂で生まれ変わることはありません。生産と分解により非常にゆっくりとした新陳代謝をしています。コラーゲン線維は線維芽細胞から生み出され、酵素により分解されるのですが、真皮全体が代謝するのに2年から6年もの時間を要するといわれています。

 

40才を過ぎるとコラーゲンは生み出せない

そして40歳半ばを過ぎるとほとんどコラーゲンは生み出されなくなります。エラスチン線維もコラーゲンと同じように、線維芽細胞から生み出され、頭皮や顔の真皮に多く存在します。コラーゲンとエラスチンの両方の働きによって皮膚の弾力は生み出されているのです。

 

コラーゲンよりもエラスチンの方が重要?

昨今、美容の面においてコラーゲンばかりが注目を集めていますが、前述のように皮膚の弾力、ハリには、エラスチンの方が重要であることが解ってきています。

真皮にあるその他の組織の主なものには血管やリンパ管、神経などがあります。また真皮の下には皮下組織があり皮下組織の大部分は皮下脂肪です。皮下脂肪は外力から身体を守る役目や体温を保持する役割をしています。

 

表皮細胞の変化

表皮細胞は角化細胞で、ケラチノサイトとも呼ばれています。この角化細胞が積み重なって表皮ができていて、身体の内部を守っています。表皮は角質細胞、顆粒層、有棘層、基底層の4つの層でできていて、その細胞は常に細胞分裂しながら生まれ変わり、絶えずバリア機能を保っています。

表皮細胞は表皮の一番深い所にある基底層で、約19日間かけて基底細胞が分裂し、新しく生まれてきます。基底層で生まれた細胞は大きな多角形の細胞になって押しあがり、有棘層を構成していて、この有棘層が表皮の大部分を占めています。

下から角質層近くまで押し上げられた有棘層の細胞は、細胞内にケラトヒアリン顆粒と呼ばれるたんぱく質の顆粒や繊維を増やしながら、硬く扁平な形になっていきます。この扁平な形をした細胞の層が顆粒層です。顆粒層は細胞間脂質や天然保湿因子など、肌に潤いを与える成分の元になるものを蓄えている薄い層です。

角質層は死んでいる

ここまでの細胞は生きていますが、この後細胞は死んでしまいます。角質層はこの死んだ細胞でできています。細胞が最終段階の角質細胞になる瞬間に、セラミドなどの細胞間脂質が細胞の外に放出され、これが角質層の細胞間を満たし、水分を維持して、肌の潤いを守る役目をしています。

細胞の角化とは?

一方天然保湿因子は細胞の中に残り、肌の潤いを維持する助けをしています。角質層はさらに扁平な形をした角質細胞が積み重なってできていて、それは徐々に押し上げられて行き、最終的にはタンパク質を分解するプロテーゼという酵素で分解され、垢となり剥がれ落ちてしまいます。このような基底層から角質層への細胞の変化を角化といい、表皮細胞の約95%が角化します。

角質細胞は水分量が少なく、みずみずしく透明感のある生きた細胞に比べると、硬く黒っぽい色をしています。表皮細胞が生まれてから垢となって剥がれ落ちるまでの変化を、生まれ変わるという意味のターンオーバーということばで表します。

ターンオーバーが乱れる原因は、加齢と…?

人間の表皮は、若いうちは約4週間で生まれ変わりますが、年齢とともに遅くなり、60代になると3ヵ月もかかるといわれています。老化以外にも、ターンオーバーが乱れる原因があります。それは睡眠不足です。

基底層での細胞分裂が睡眠中に行われていることが分かっていますから、まず睡眠不足になると肌代謝そのものであるターンオーバーが不十分になり肌荒れの原因になるのです。ストレス、偏った食生活なども角化の妨げになります。

まずは生活習慣に気をくばることが大切でしょう。美容医療では、ターンオーバーを低下させないための角質のケア、ピーリングなどが行われています。