表皮細胞の変化

表皮細胞は角化細胞で、ケラチノサイトとも呼ばれています。この角化細胞が積み重なって表皮ができていて、身体の内部を守っています。表皮は角質細胞、顆粒層、有棘層、基底層の4つの層でできていて、その細胞は常に細胞分裂しながら生まれ変わり、絶えずバリア機能を保っています。

表皮細胞は表皮の一番深い所にある基底層で、約19日間かけて基底細胞が分裂し、新しく生まれてきます。基底層で生まれた細胞は大きな多角形の細胞になって押しあがり、有棘層を構成していて、この有棘層が表皮の大部分を占めています。

下から角質層近くまで押し上げられた有棘層の細胞は、細胞内にケラトヒアリン顆粒と呼ばれるたんぱく質の顆粒や繊維を増やしながら、硬く扁平な形になっていきます。この扁平な形をした細胞の層が顆粒層です。顆粒層は細胞間脂質や天然保湿因子など、肌に潤いを与える成分の元になるものを蓄えている薄い層です。

角質層は死んでいる

ここまでの細胞は生きていますが、この後細胞は死んでしまいます。角質層はこの死んだ細胞でできています。細胞が最終段階の角質細胞になる瞬間に、セラミドなどの細胞間脂質が細胞の外に放出され、これが角質層の細胞間を満たし、水分を維持して、肌の潤いを守る役目をしています。

細胞の角化とは?

一方天然保湿因子は細胞の中に残り、肌の潤いを維持する助けをしています。角質層はさらに扁平な形をした角質細胞が積み重なってできていて、それは徐々に押し上げられて行き、最終的にはタンパク質を分解するプロテーゼという酵素で分解され、垢となり剥がれ落ちてしまいます。このような基底層から角質層への細胞の変化を角化といい、表皮細胞の約95%が角化します。

角質細胞は水分量が少なく、みずみずしく透明感のある生きた細胞に比べると、硬く黒っぽい色をしています。表皮細胞が生まれてから垢となって剥がれ落ちるまでの変化を、生まれ変わるという意味のターンオーバーということばで表します。

ターンオーバーが乱れる原因は、加齢と…?

人間の表皮は、若いうちは約4週間で生まれ変わりますが、年齢とともに遅くなり、60代になると3ヵ月もかかるといわれています。老化以外にも、ターンオーバーが乱れる原因があります。それは睡眠不足です。

基底層での細胞分裂が睡眠中に行われていることが分かっていますから、まず睡眠不足になると肌代謝そのものであるターンオーバーが不十分になり肌荒れの原因になるのです。ストレス、偏った食生活なども角化の妨げになります。

まずは生活習慣に気をくばることが大切でしょう。美容医療では、ターンオーバーを低下させないための角質のケア、ピーリングなどが行われています。