シミの種類と特徴

一般にシミと呼ばれているのは、皮膚に出来る茶色や黒色の斑点や局面で、アザや皮膚癌などの病以外のものです。

最近よく知られるようになった肝斑という言葉がありますが、肝斑と書いてシミと読むので、シミは肝斑だとも言えますがシミと言われるものの大半は肝斑ではなく、老人性色素斑です。シミには色々な種類があり、ケアの方法もそれぞれ違いますから、種類ごとに6つに分けてその特徴やケアの方法をみていきましょう。

老人性色素

まず1つ目は老人性色素。多くの女性がシミと言って気にかけているものの大半がこの日光黒子ともよばれる、日焼けによってできるシミです。このシミは茶色で丸い形をしていて、頬骨のあたりからできはじめることが多いものです。

老人性色素斑は繰り返し紫外線を受けたことによってできます。紫外線の影響でメラノサイトが活性化して増加することで表皮や角質層が厚くなっていきます。その過程で老人性色素斑ができるのですが、このときすでに、皮膚の構造自体が変化してしまっているため美白化粧品によるケアは効き目がありません。何故なら美白化粧品はメラノサイトがメラニン色素を作りにくくしてメラニン色素の量を減少させるよう働きかけるもので、変化してしまった表皮を復元する力はないからです。

ごく初期のものは美白ケアも有効ですが表皮が変化してしまってからのものはレーザーでないと取り除くことはできません。

 

脂漏性角化症

2つ目はイボ状に盛り上がった脂漏性角化症で、頬骨の高い部分やこめかみなど髪の生え際からできはじめます。先述の老人性色素斑からできることもあります。その色は白っぽいもの、茶色のもの、真っ黒なものなどさまざまで痒みを伴うこともあります。これにも美白化粧品は効き目がありませんが炭酸ガスレーザーできれいにとることができます。

 

肝斑

3つ目は最近話題になっている肝斑で、これは女性ホルモンのバランスの乱れでできると言われています。妊娠中」や更年期などにみられることが多いようですが、その頻度は極めて低いようです。

肝斑はまが玉のような形をしていて頬骨に左右対称にできることが多いという特徴があります。色は淡い茶色か灰色で境界線が比較的はっきりとしています。肝斑の治療にはトラネキサム酸という飲み薬や漢方薬にも有効なものがあります。

 

そばかす

4つ目はそばかすといわれているもの。雀卵斑は遺伝性のシミで色白の人に多く10代からできはじめます。瞼や頬全体に小さなシミができ、その形は丸ではなく、三角や四角です。紫外線を受けるとその色が濃くなることがあります。雀卵斑には美白化粧品が有効ですが、それを使ってもはっきりとした変化を感じることができません。レーザー治療を受けると非常にきれいになりますが、再発することもあるようです。

 

炎症性色素沈着

5つ目はニキビ痕などがシミみなってのこる炎症性色素沈着です。これは治療しないでも年月を経てだんだん薄くなりますが日焼けすると消えにくくなります。治療する場合はレーザーではなくピ―リングがよいでしょう。

 

花弁状色素斑

6つ目は花弁状色素斑と言って、海水浴などで一度に強い日焼けをしたときにできるシミです。良く見ると小さな花のような形をしています。これにはレーザー治療がよいでしょう。

 

真皮と皮下組織

真皮は表皮よりも奥の層で、コラーゲン線維の網目構造でできています。コラーゲン線維はタンパク質の繊維で、網目状の構造を作り上げているこのコラーゲン線維のところどころをつないで、肌の弾力を維持しているのが、エラスチン線維です。真皮の70%を占めるコラーゲン線維に対してエラスチン線維はごく微量しか存在しませんが、肌のハリには大切な働きをしています。

 

シワ・たるみの原因はエラスチンの減少?

年齢とともにこのエラスチン線維は減少し、シワやたるみの原因になります。さて、膠原線維ともよばれるコラーゲン線維は大変強く、縦には伸びにくいタンパク質でできた線維です。

コラーゲン線維には色々な種類があり、1型と2型に分けられていることが知られていています。真皮に存在するのは、大半が1型で、肌に良いと言われている軟骨に豊富なコラーゲンは2型で、皮膚とは別のタイプなのです。

 

コラーゲンは生まれ変わらない?!

コラーゲン線維は細胞分裂で生まれ変わることはありません。生産と分解により非常にゆっくりとした新陳代謝をしています。コラーゲン線維は線維芽細胞から生み出され、酵素により分解されるのですが、真皮全体が代謝するのに2年から6年もの時間を要するといわれています。

 

40才を過ぎるとコラーゲンは生み出せない

そして40歳半ばを過ぎるとほとんどコラーゲンは生み出されなくなります。エラスチン線維もコラーゲンと同じように、線維芽細胞から生み出され、頭皮や顔の真皮に多く存在します。コラーゲンとエラスチンの両方の働きによって皮膚の弾力は生み出されているのです。

 

コラーゲンよりもエラスチンの方が重要?

昨今、美容の面においてコラーゲンばかりが注目を集めていますが、前述のように皮膚の弾力、ハリには、エラスチンの方が重要であることが解ってきています。

真皮にあるその他の組織の主なものには血管やリンパ管、神経などがあります。また真皮の下には皮下組織があり皮下組織の大部分は皮下脂肪です。皮下脂肪は外力から身体を守る役目や体温を保持する役割をしています。

 

表皮細胞の変化

表皮細胞は角化細胞で、ケラチノサイトとも呼ばれています。この角化細胞が積み重なって表皮ができていて、身体の内部を守っています。表皮は角質細胞、顆粒層、有棘層、基底層の4つの層でできていて、その細胞は常に細胞分裂しながら生まれ変わり、絶えずバリア機能を保っています。

表皮細胞は表皮の一番深い所にある基底層で、約19日間かけて基底細胞が分裂し、新しく生まれてきます。基底層で生まれた細胞は大きな多角形の細胞になって押しあがり、有棘層を構成していて、この有棘層が表皮の大部分を占めています。

下から角質層近くまで押し上げられた有棘層の細胞は、細胞内にケラトヒアリン顆粒と呼ばれるたんぱく質の顆粒や繊維を増やしながら、硬く扁平な形になっていきます。この扁平な形をした細胞の層が顆粒層です。顆粒層は細胞間脂質や天然保湿因子など、肌に潤いを与える成分の元になるものを蓄えている薄い層です。

角質層は死んでいる

ここまでの細胞は生きていますが、この後細胞は死んでしまいます。角質層はこの死んだ細胞でできています。細胞が最終段階の角質細胞になる瞬間に、セラミドなどの細胞間脂質が細胞の外に放出され、これが角質層の細胞間を満たし、水分を維持して、肌の潤いを守る役目をしています。

細胞の角化とは?

一方天然保湿因子は細胞の中に残り、肌の潤いを維持する助けをしています。角質層はさらに扁平な形をした角質細胞が積み重なってできていて、それは徐々に押し上げられて行き、最終的にはタンパク質を分解するプロテーゼという酵素で分解され、垢となり剥がれ落ちてしまいます。このような基底層から角質層への細胞の変化を角化といい、表皮細胞の約95%が角化します。

角質細胞は水分量が少なく、みずみずしく透明感のある生きた細胞に比べると、硬く黒っぽい色をしています。表皮細胞が生まれてから垢となって剥がれ落ちるまでの変化を、生まれ変わるという意味のターンオーバーということばで表します。

ターンオーバーが乱れる原因は、加齢と…?

人間の表皮は、若いうちは約4週間で生まれ変わりますが、年齢とともに遅くなり、60代になると3ヵ月もかかるといわれています。老化以外にも、ターンオーバーが乱れる原因があります。それは睡眠不足です。

基底層での細胞分裂が睡眠中に行われていることが分かっていますから、まず睡眠不足になると肌代謝そのものであるターンオーバーが不十分になり肌荒れの原因になるのです。ストレス、偏った食生活なども角化の妨げになります。

まずは生活習慣に気をくばることが大切でしょう。美容医療では、ターンオーバーを低下させないための角質のケア、ピーリングなどが行われています。